ご先祖供養の仕方

お仏壇のまつり方

仏壇とは仏像をまつる壇のことで、お寺では須弥壇といっています。須弥壇は須弥山をかたどったもので、須弥山はもともと帝釈天のいる所で、帝釈天が諸王の帝王であることになぞらえて、仏の威徳を示そうとしたものが須弥壇です。
仏壇の置く位置や方向にはあまりこだわらなくてよいでしょう。また今日の住宅事情を考えれば、家の中で、比較的静かで落ち着ける場所に安置して、毎日お参りできることが大切です。
曹洞宗では一仏両祖をおまつりして、信仰生活をすることを説いていますので、その教えに触れる機会を少しでも増やすためにも、仏壇をおまつりするのはとても意義深いことです。
仏壇のおまつりの仕方を、檀信徒の皆様にお配りしている「曹洞宗宝暦」から抜粋してみました。

1.お仏壇とは

お仏壇は、ただ単にご先祖さまをおまつりするだけの場所ではありません。お仏壇の中は仏さまのおいでになる世界、須弥山をあらわしており、中心に本尊さまがまつられています。そうです、お寺の本堂と同じで、お仏壇は「家庭の中のお寺」なのです。

2.本尊さま

私たち曹洞宗の本尊さまは、仏教の開祖である釈迦牟尼仏(お釈迦さま)です。お釈迦さまは、私たちのこの生命をどのように生きればよいのかを、お示しくださいました。
お仏壇には、お釈迦さまをおまつりします。基本的には、お釈迦さまだけでよいのですが、もし、お釈迦さまと道元禅師、瑩山禅師の「一仏両祖」のお絵像をお掛けする場合は、中央にお掛けします。すでにお釈迦さまがおまつりしてある場合には、その後ろにお掛けします。

3.お仏壇をまつる意義

では、お仏壇をまつる最も大切な意義は何でしょうか。それは、お仏壇は、私たちが仏教徒としていきる、信仰実践のよりどころである、ということです。
曹洞宗の信仰実践の基本は、端坐・合掌・礼拝です。静かな心で端坐し、お釈迦さまに合掌礼拝することにより、私たちの日々の生活を反省し、教えを生活の中で実践する活力を生むのです。そして、その実践が心の安らぎとなっていくのです。
また、ご先祖をおまつりし、おまいりするということは、生命が、生命から生命へとうけつがれ、今の私があるということへの報恩感謝の実践といえます。それは、私が私ひとりで生きているのではなく、多くの生命によっていかされているのだ、と深く実感することでもあるのです。

4.おまつりの仕方

[お仏壇の中心はお釈迦さまです]

お仏壇のおまつりの仕方についてまず、最も大切なことは、お仏壇の中心はお釈迦さまであることを、はっきりと心にとめることです。
お仏壇の上段中央に、木彫りや鋳造のお釈迦さまをおまつりします。

[お位牌は上段の左右に]

ご先祖のお位牌は、お釈迦様の左右におまつりし、古いお位牌は向かって右に、新しいお位牌は左におまつりします。お位牌が多くなった場合などの時には、「繰り出し位牌」や「合同牌」にしたり、「○○家先祖代々」にまとめることができますので、菩提寺にご相談ください。

[お供え物の位置は中段です]

お供え物は、本尊さまやご先祖、故人が"いますがごとく"お供えします。供物は五つのお供えが基本です。香り(線香、お香)、花、灯明、お水、飲食(お霊膳、果物、お菓子、嗜好品等)です。ご飯に限らず、皆さんが召し上がる食事をお供えしてください。お供えした物は無駄にしないで、皆で分けあって食べます。また、いただきものをした時は、必ず、一度お仏壇にお供えしてからいただきましょう。
お茶やお水をお供えする器のことを茶湯器といい、中段の中央にお供えします。茶湯器がひとつの場合、ご飯(お仏餉)は、茶湯器の右横にお供えします。茶湯器がふたつの場合は、真ん中がお仏餉です。お菓子や果物は、高坏に盛りつけて茶湯器の左右にお供えします。

[下段には三具足と精霊簿を]

下段には向かって左側より花立、香炉、ロウソク立ての三具足を置きます。香炉にも表と裏があります。三本足の場合には、手前に一本の足がくるようにします。
精霊簿(過去帳)は、見やすい位置に置くようにします。また、毎朝めくって、その日のページになるようにしてください。

[おまいりの必需品も下段に]

日常、おまいりするために必要なリン(カネ)やお経本、数珠等は、下段か引き出しの中に置きます。おまいりの際には、木魚がある場合は木魚を右に、リンを左に置き、リンだけの場合は、右に置きます。お仏壇の中が手狭になった時は、前机を置くとよいでしょう。
以上、標準的なお仏壇のおまつりの仕方について紹介しましたが、わからないことは、菩提寺にお聞きしましょう。

5.おまいりの仕方

洗面をすませたら、朝食前にご飯やお水、お茶をお供えし、お花のお水をかえて、おまいりします。
まず、姿勢を正し、お釈迦さまを仰ぎます。次に、呼吸を整え気持ちを落ち着かせます。これは、坐禅に通じる作法です。ロウソクに火を灯し、お線香に一本火をつけ、すこしおしいただいておあげし、リンをふたつ、またはみっつ鳴らします。
まず、合掌して一度礼拝します。次に「南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧」(三帰)または「南無釈迦牟尼仏」とお唱えします。唱え終わったら、もう一度合掌のまま礼拝してください。
お仏壇は、その家に住んでいる人の心のよりどころです。特にお子さんがいるご家庭では、幼いころから共におまいりする時間を、ぜひもちたいものです。毎日のおまいりの積み重ねが、まごころに生きる姿勢を生むのです。
うれしいにつけ、悲しいにつけ、お仏壇のお釈迦さまや、仏さまにご報告し、曹洞宗檀信徒として、人生の指針が常にお釈迦さまの教えにある生活をいたしましょう。


寺だより

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(2011年3月14日)


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